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ぬかぴーのツブヤキ

発信者:ナナわんこ
2025.02.07

╞╪╡ 鐵 學 ╞╪╡ (54)  列車の暖房

「鐵學(てつがく)」と称して、永遠に交わることのない2本のレールにまつわるお話をツブヤいています。
立春が過ぎてもまだまだ寒い日が続いていますが、今回は列車の暖房のお話です。

暖房用車両「マヌ34」

昔々の蒸気機関車が牽く列車は、蒸気機関車からスチームを客車に引き込む暖房方式でした。一年中石炭で罐(かま)を焚き蒸気を作っているので、いつでも暖房が入りました。
しかしディーゼル機関車や電気機関車が登場し列車を牽引するようになると、蒸気の供給ができないので、ボイラーを搭載した「暖房車」が作られ連結されるようになりました。
次の写真が最後まで活躍した暖房車マヌ34です。地方へ行けば普通に見られたので、こんなピンボケ写真が1枚しかありません。

暖房車マヌ34(1971 長野機関区にて)

蒸気発生装置等が搭載された機関車がつくられる

1934年になると、電気機関車に蒸気発生装置(SG)を搭載されたEF56型が登場し、暖房車がなくともスチームが供給されるようになりました。この車載SGは永年にわたり使われ、寒い冬はお世話になったものです。

発車に向けて蒸気を上げて待機中(EF569 田端機関区にて)
上野に向けて推進回送中のEF5847、上越線の普通列車を牽く機関車からスチームが上がっています(田端付近)
暖房装置使用中を示すランプ(赤丸内)が機関車側面に点灯しています(EF57 鶯谷付近)

しかし電気機関車車内にボイラーと水・重油を搭載し、ボイラーを扱う要員を配置することからデメリットも多く、その後の進化にともない1960年代初めには客車も改良され、機関車に搭載された電気暖房装置(MG)による暖房に変わっていきました。

中学生のころには首都圏では蒸気機関車が無くなっていましたが、ある日夜行列車に乗るために新宿駅に行ったところ、なんと石炭を焚いた煙の臭いがするではありませんか。汽車がいるのかと思って、新宿駅の長いホームを先端に走っていくと、そこには暖房車が連結されていました。
新宿発23時55分の長野行き鈍行の車内は、暖房車から送られるスチームで暖かく、中央本線のスイッチバック駅を夢うつつに揺られていきました。