ぬかぴーのツブヤキ
発信者:ナナわんこ
2024.08.30
╞╪╡ 鐵 學 ╞╪╡ (33) 身近にあった王子貨物線 その1
「鐵學(てつがく)」と称して、永遠に交わることのない2本のレールにまつわるお話をツブヤいています。
今回は東京都北区の王子界隈にあった貨物線について2回にわたりご紹介します。
軍都だった北区界隈の鉄道網
令和の現在からは想像もできませんが、北区界隈は明治時代から軍事産業の工場や陸軍部隊の駐屯地が多く、また新紙幣で渋沢栄一が興した王子製紙をはじめとする製紙・印刷産業の黎明の地でもあります。
今の赤羽や桐ヶ丘の団地群をはじめとする広大な土地は軍関連の敷地の後に作られたもので、ここには昭和30年代まで赤羽駅や板橋駅、王子駅などから貨物の引き込み線が網の目のように伸びていました。
2014年まで残っていた貨物専用線
今回は田端信号場駅(旧田端操車場)と貨物専用駅の北王子駅を結んでいた北王子線をご紹介します。1969年の地図の左側にあり、右下の王子駅方面から本線と分岐して伸びていき、途中で右(東)側に須賀線を分岐しています。
元々は地図に見える十條製紙(その前は王子製紙)の専用貨物線でしたが、工場撤退後は規模を縮小した用紙倉庫が残ったため、十條製紙(現・日本製紙)に印刷用紙を運び込む貨物輸送が行われ、2014年に廃止されるまで存続していました。
地図に見える十条製紙の跡地は、北本通に面した巨大な王子5丁目団地となり、その西側に北王子駅がありました。
北王子線は田端方面から専用軌道で伸びてきて、現在も王子駅の京浜東北線横に廃線になったレールが残り、新幹線の高架下まで原型を保っています。
JRから分岐するかつての専用線は、金網に囲まれて残ってはいますが、北王子駅は巨大なマンション群に再開発され、面影はありません。